世界と人
杉原詠二(黒髪)

光の線が
立ち入り禁止の帯になる
わたしの目の前では

走っていく車の音は
いつも郷愁を掻き立てる
永遠へと届きたいこころを
載せて去って行く
ヘッドランプが一瞬窓ガラスを照らす

本の中には無限の知識が詰まっている
頭の中を精査するために
本から得た意味を使っている
やがては頭が自立する
自分だけで考えられるようになる

そして世界はいつもそこにある
わたしの目に映り
耳に響き
毎日姿を変え続ける自然
わたしはこころを震わせるけれど
時が経てばまた一人
いっときの郷愁には
無限にわたしを救う力はない

だからわたしは
人と云うものを考える
わたしの意志の展開場所
対話相手
話せる人
対等に話すことで
自分の咎が見えてくる

また明日
人の中で生きることを
大乗の基本として
我が心に教える


自由詩 世界と人 Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-12-02 21:13:18
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