ちっぽけなラブレター
りつ

ありがとう
優しいひと

宛先のない手紙を空に向けて飛ばす
風が想いを運んでくれる
逢いたいと願うだけでは
足らなかったの?
自分が自分を邪魔するように
伸びすぎた前髪が視界を遮るから
真っ直ぐに見ることが難しい

せめてことばだけでも

どんなに切実な願いを込めても
ネットの河は流れ続ける
忘れてしまっても良い
細やかな
ちっぽけな切れ端のラブレターなど
webというのが幻想だとしても
蜘蛛の巣のように
絡めとって
押し留めたかった

痩せ細っても
三日月も月なのです

ねぇ、いつか帰ろう
わたしたちがわたしたちで居られる場所に
そこは白い烏ばかりだから
毛色が違ってても
誰も咎めない

そんな擦れ違いのことばが寂しくなって
わたしはひとりで
泣くのです


自由詩 ちっぽけなラブレター Copyright りつ 2025-11-25 21:47:48
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