電飾の蛍
りつ

まだ1ヶ月以上あるというのに
この時期になると
街のいたるところに
イルミネーションが灯りはじめる

一個人の家庭から
木々のこずえ
待ち合わせの広場

イルミネーションの灯では
暖まれないけど
点滅が
祈りのように思えて
ホットココアを飲んだときみたいな
ぽわっとした気持ちになる

もしも神さまがいて
たった1日だけ
ひとつ願いを叶えてくれるとしたら
何を願おうか

個人的なことは
もう充分満たされているから
全世界で
争いのない1日でも願ってみようか
敵も味方も壊れた地下室に住むひとたちも
ほっとひといきつけるような
平和な1日を願おうか

欺瞞だっていいじゃない
カッコつけて欺瞞すらできないようでは
絵に描いた餅は
ずっと食べられないまま
腹ぺこのまま
いつまでだって飢えっぱなし

イルミネーション
電飾の蛍たち
ほら、瞬いて
祈りを天に宙に伝えてよ
やがて降る流れ星の雨にのせて
平和のベルが鳴るように


自由詩 電飾の蛍 Copyright りつ 2025-11-21 21:44:01
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