渋谷陽一の詩
鏡ミラー文志

渋谷陽一の語りには、論理的な暴力性があった
良い加減な人? ただの音楽好きなおっちゃんだよと語るけれど
その独特の嗅覚には、いつも本物の持つ匂いがした
体系的な知識と全体像だけじゃない 
人肌の匂いのする熱い音楽論が読みたいと言う思いに応え続けた
多くの音楽ファンは、彼が作ったロックマーケットでショッピングを楽しんだ
本当に凄い人だった 渋谷陽一が逝っちゃった

プレスリー世代は
ベンチャーズとビーチボーイズについていくのが精一杯だったが
ビートルズに影響された新たな若者達は
もっと歪みの効いた、リアルな音を求めた
レッドツェッペリンに賭けた青春
マリリンマンソンからモーニング娘。までを晩年には許容し
若い世代を決して見下したりはしなかった
本当に天才肌の音楽評論家だった 渋谷陽一が逝っちゃった

ヘイジーザス きっと天国でレノンと笑ってるぜ!
ヘイヴィーナス 地上では、桑田佳祐が水着美女と踊ってるぜ
渋谷さん まだ俺そっちにいけないよと……

親子世代で楽しめる 笑って語り合える人物というのがいる
批評と悪口は違う 彼は少なくとも、家の外へ出て批判はしても悪口は口にしなかった
公人であり崇高な世界に生きる志を持っていた男だった
本当に笑顔が素敵だった 渋谷陽一が逝っちゃった


自由詩 渋谷陽一の詩 Copyright 鏡ミラー文志 2025-11-18 18:31:03
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