しらやまさんのこと(2)
AB(なかほど)
そこから先には進めないときがある
そのたびに思い出す風景があって
背中の方から温もりを感じながらも
とても不安そうな少年の瞳に
問いかけられた言葉
飲み込めないまま
風にもなれず
ときおり
あの雲のように
勝手にすっと入ってきては
心臓のちょっと下あたり
ふるふる
として浮かんでくる
問いかけられた言葉は
そこから先には進めない風景の中で
夕陽にさえ染まらずに
僕は今でも噛み砕いている
遠くの踏み切りや
帰る自転車の光に紛れながらも
遠く 遠くの
空から降りてくるものが見えても
それを今でも
噛み砕いている
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しらやまさんのこと