どんぐりを置く
そらの珊瑚

金木犀がたった数日でいなくなった公園で
わたしたちはどんぐり拾いをした
ここにも
そこにも
あっちにも
おいで、おいでと
どんぐりがわたしたちを呼ぶから
キミのズボンのポケットはすぐにいっぱいになる

小さな穴のあいたどんぐりがあった
それは虫が入っているから拾わないでね、と
声をかけると
キミはちょっと残念そうにうなずいた

どんなに暑くて長い夏であろうと
秋はちゃんとやってきて
そしてひとり
わたしはどんぐりを拾う
こんなに硬くて強い殻に
虫はどうやって穴をあけるのだろう

つややかな命のなかに
もうひとつ命がある
不思議なからくりは
上手に時間の波に乗って
継がれていく

今日のひだまりのなかに
そっと
虫食いどんぐりを置く


自由詩 どんぐりを置く Copyright そらの珊瑚 2025-10-21 14:13:19
notebook Home