どんぐりを置く
そらの珊瑚
金木犀がたった数日でいなくなった公園で
わたしたちはどんぐり拾いをした
ここにも
そこにも
あっちにも
おいで、おいでと
どんぐりがわたしたちを呼ぶから
キミのズボンのポケットはすぐにいっぱいになる
小さな穴のあいたどんぐりがあった
それは虫が入っているから拾わないでね、と
声をかけると
キミはちょっと残念そうにうなずいた
どんなに暑くて長い夏であろうと
秋はちゃんとやってきて
そしてひとり
わたしはどんぐりを拾う
こんなに硬くて強い殻に
虫はどうやって穴をあけるのだろう
つややかな命のなかに
もうひとつ命がある
不思議なからくりは
上手に時間の波に乗って
継がれていく
今日のひだまりのなかに
そっと
虫食いどんぐりを置く