最初から知ってた
花野誉
最初から知ってた
きっと私のどこかが感づいてた
あなたが私のことを好きでないこと
好きになろうとしてくれたのかもしれないけれど
あなたは一人で夢を見てた
私の笑顔が素通りしていくのを見てた
その言葉は誰に向けたものか
だんだん確信したけれど意地になって
希望の種を撒き続けたら
花にも実にもならず
得体の知れないものが生えてきて
幾つかの脇道にまで逃げる始末
結局
眼鏡の奥の細い目は どこも見ていなかった
私じゃあないんだ
確認するために会うみたいになって
─あなたは、あの時で止まっているのではないですか?
だとしたら
私にかまわないでほしかった
そんな想いも遠くの昔
あなたと学んだものは私の糧になったけれど
あなたと交わした情は思い出せない
不思議なくらい ときめかない
時折 夢に逢う人より無味で色が無い
それも最初から知ってたはずなのに
私の浅はかで無謀な試み
危うく手遅れになるところだった