晴天白雲麒麟
月乃 猫


拝啓

瑠璃の空は、諂曲世界
晴天白雲麒麟が翔く

生贄を欲する
砂漠は、常の
戒めの地

証は、マリア
追放された 三人の女たちや
殉教者の群れも
アラブの隊商路は、錯乱の陽光を浴び
無言に歩み 

待ち望む
砂漠より窓辺にたどりし
伝書鳩の便り
束の間 
戦の停止を知った

この上ない
青天の下
見まがう 砂漠は、
瓦礫を囲む砂海原の、果てしもなく

足の裏に 焼ける熱砂を踏み、

列なす墓標のない 砂の墓場へ、

語り継がれる
血が培った 
フランダースの花畑をなぞる
紅い弔いの芥子の花を
砂の粒子に手植える
点描画の一点を埋めるように
一本、
一本、、
一本、、、、

求めることもない
瑠璃の空の轟音に
息を潜めることも
逃げ惑うことも
小さな弟をだきしめることも
しなくてよいのなら

あなたの、生の無惨を離れ 喜びの中へ
永くいられるように そして
しばしの休息を願いつつ、


平和な船の上より、
                   敬具


自由詩 晴天白雲麒麟 Copyright 月乃 猫 2025-10-12 21:43:13
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