どしゃ降りの雨の中を
花形新次
中途半端な感情が
肝心なものを置き去りにして
通り過ぎて行く
ほんの数年の間だけ訪れる
黄金の日々に
大抵の人は気付かない
あの頃は
と懐かしがっても
もうきらびやかな皮膚も髪も
瞳の輝きすら
戻って来やしないのさ
窓の外は
どしゃ降りの雨だ
傘を忘れて
駅に足止めを食らっている
少女
忘れないで欲しい
きみは誰にも知られずに
雨が降り止むのを
待っているわけではないことを
「濡れているのは
いつまでも
白いブラウスだけだ」
僕だけが
透けたブラを見ている
自由詩
どしゃ降りの雨の中を
Copyright
花形新次
2025-10-09 19:06:36