コオロギの誘い
花野誉

夜のベランダ
洗濯物を干していたら
一匹のコオロギが鳴き出した

リリリ リリリ
耳澄まし聞き惚れる

まるで私を誘うよう
少し移動するたびに鳴く

─暗闇で見間違えね
─私は若くないですよ

それでも
コオロギの声に心ときめかせ

勝手な思い込みと共に眠りにつき
二つ夢をみた

肉体は若く
若い女性達とグラウンドを駆け巡る
圧倒的な一位でゴール

肉体は現状のまま
金髪の若いアメリカ兵にナンパされる
──アメリカ人は許容範囲が広いんだな
感心しつつ誘いにのる

そんな若やいだ楽しい夢をみた

コオロギ君のおかげである
感謝











自由詩 コオロギの誘い Copyright 花野誉 2025-10-02 09:44:51
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