九月散歩
塔野夏子
僕らは歩く
九月のふちを
ほろほろと崩しながら
重い夏が過ぎたあとに
おとずれるはずだった
空虚
さえ失われて
行き場をなくした僕らの
可憐な破壊衝動が
あかるい空へ
微細な泡になって
立ちのぼってしまう
伝えあいたしかめあった
言葉たちさえ
いつか生まれていた隙間に
みんな零れ落ちて
しまうとしても
僕らはまた歩く
九月のふちのように
ほろほろと崩れながら
自由詩
九月散歩
Copyright
塔野夏子
2025-10-01 11:01:06