オオイヌノフグリ
たもつ
他に何もない日
野原にひとつ
屍があった
今にも、ストン
と落ちてきそうな空を
屍はただひとつで支えていた
誰が手向けたのか
頭の近くに
オオイヌノフグリが咲いていた
たとえ屍が融けたとしても
空が落ちないように
孤独な仕事は別のひとつへと
引き継がれていく
他に何もない日に
自由詩
オオイヌノフグリ
Copyright
たもつ
2025-10-01 06:58:28