真昼の月
りつ

白くかそけき真昼の月が
夢見る刃となってぼんやりと揺れる
  ((切り裂いてしまいたい男がおりました
   ((折れてしまいたい私がおりました

祝福されなかった生まれたての胎児のような想いは
虹となることが無い天気雨の根元に埋葬されている

あんまり儚すぎるので
私の泪を編んで1輪の赤い曼珠沙華と為し
枯れるまで真如を歌おうか

      嘘?
    違う
          解らなかっただけ
      まことが

二度と戻らぬ一瞬が永遠ならば
私は愛しさだけを花き抱き

   汝がために咲き
      汝がために散る

それが祝福でも呪いでも
約束の指輪を捨てられないのなら
指ごとちぎって儚い月に誓う

生涯あなただけなのだと

真昼の月よ  果てしない幻よ
触れ得ぬものを愛した私の頑なさを愚かと憐れむか

仮初は
もう 
   
       いらないのだよ


自由詩 真昼の月 Copyright りつ 2025-09-26 09:47:17
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