夏の決壊
唐草フウ
白線の外側には
出られなかった気持ちを
服のポケットで押し砕く
(一糸乱れないように)
フェンスの向こうにある
夜明けという抱擁の残酷さよ
迷い子の蛍たちが
溶けたチョコレートをくちびるに塗りたくる
(泣いたりしないから)
言えなかったことば
言いたかったことば
わかっているのですか
わかってほしかった
(きらいとは言えなくて)
土の上をどこまでも歩く
つどったドールたちは熱い眼球から砂の涙を流す
夏なんて何も楽しくなかったと
溢れても跡が残らないように
。。。。
・・・・・
!!!
・・・・ ・・・・・・
向こう岸に見えるのは
罪作りな声の吹雪く 高層ビル街
汗などかかない人たちが
知ってか知らずか
また愛ということばを言い訳にしている
堤防にある一本の外灯は
切れかけている
ブルーライトを持ち寄った 蛍たちは
もう充電がなかった
闇の招く手のひらに惹かれて
夢中で静かに決壊を 待っている
(もうわたしを ・・・・・・)