UFO
岡部淳太郎

(どうか、ユーエフオーと発音してください。)





光る
夜の光
それは星でも 月でも 街の灯りでもなければ
眠る人々の心に点る
ささやかな光でもない
それはやってくる
空から
空の頂上から
明らかな目に見える
あるいは目に見えない
光を帯びて
自ら輝きながら
空の上の空間から
飛来してくる
未確認であるがゆえに
確認されたがっている 真実がある
悲しみも
淋しさも また
いかなる地上の助言や嘲笑にも
耳を傾けてはならない
ただ光に目を開き
光のままに
光として
歩くのだ
光は
君のために 人々のために
空から降りてくる
時は静かだ
他の惑星はこれほど暗い夜を持たない
他の人々はこれほど脆い夢を持たない
やがて君は
君の仲間のような 君自身の魂のような
遠い声を聴くだろう
橋を渡るために
身支度を整えなさい
われわれはあつまっている
君よ
眠る人々の心に点る
かすかな光をあつめて
宇宙のすきまを
ことごとく
光で満たせ



「夜、幽霊がすべっていった……」拾遺


自由詩 UFO Copyright 岡部淳太郎 2005-06-01 18:57:26
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夜、幽霊がすべっていった……