帷
降墨睨白島/腰国改修
静脈の運ぶ退廃が酒肴として活きる夜
帷の内と外でどれだけ熱量が違うのか
内では
肥満めいた男が慄き若い女に買われて
右往左往しながら満更でも鳴く蕩けて
真っ暗な夜がないのと同じように
真っ黒の部屋の壁は地球上では皆無で
星が救い主を連れてきたように
輝いていやがる
外では
ふらついて目眩を脱ぎ捨てられない
道化師めいた女がやはり肥満めいて
若い男に虐げられて
それでも最後は抱きしめられて瞳
すべてが野外劇でこの界隈では
警察もやって来ないから
どれだけ泣いて騒いでも最後は一人
まだ真夜中だから他人行儀な月が
輝いていやがる
終始欲望も意味なく
ポーカーも成り立たず
帰る電車も黒馬も死にたえて
一生をこの帷の中で舞狂えと思う
君の一生は6時間ぐらいか
太陽が昇れば
すべてが零になる
無情も意味なく
若作りは成り立たず
無知な若者は早く退けていき
残る杯の酒を頭から浴びて
6時間の一生の最後に眠り着くのだ