気が合いそうな予感
花野誉
妹の娘は
私に似ている
彼女が産んだ赤ん坊
男前ではないけれど
愛嬌のある顔
知り合いのおっちゃんに
似ている
彼は私を一生懸命見つめてくる
私が何者か分析している
他にも人がいるのに
私をひたすら凝視する
人差し指を掌に乗せると
ぎゅと握る
初めてコミュニケーションが取れた
そんな気がした
器用に寝返りをうち
ふんばり
そして また
私を見る
濁りのない宇宙のような瞳
キラキラ光る涎
ふわふわの黒髪と
隙間のある頭皮
毛穴の見えない肌
むちむちの手足
私の歌う六甲おろしと変顔に
ニヤッと笑う
しまいには
声をあげて笑う
ほほぅ
これは
気が合いそうな予感
もう少し大きくなったら
一緒に甲子園に行こう