たそがれ時
こしごえ
思いのこすことは無い
思いのこすことは無いが
このままでは
むなしい 空虚だ
と感じる一方で、私は
恵まれているんだ
とも思うのであった。なので、
まだその時ではない、と思いとどまるのである
思いとどまって 私は
何の役にも立たないまま
生きてゆくのだった
ごめんなさい
と失礼で悲しい一言を
ふたたび言えないで。私は、
その人のために生きてるんじゃない
と
どこか開き直って、私は
私の人生を生きるしかないのだ。
夏が終わりつつある
秋と夏とのさかいめに
冬の死の予感を見る
狂っているのは私の
悲しみだ
大切な
悲しみはしかし
誰にも知られることはなく
私だけの空虚を満たしてゆく
永遠に
届くことはない
私の
思いは
宙の奥のほうで
脈打っている
約束である
※ 初出 2025.09.09 日本WEB詩人会