自称詩人の最後
花形新次

悲しい声がする
悲しい、悲しいと
言っている

誰の声かと
あたりを見回しても
いるのはこの私だけ

ひょっとしたらと
胸に手を当ててみたら
心臓の鼓動が
悲しいと泣いていた

あの日の私は
救われたいなんて
思いもしなかった

誰の前でも
悪魔のように振る舞っていた
孤独なんて当たり前のことだった

死ねば死にきり
と思っていた

ところが今の私は
出来ることなら
この胸の重りを
すべて下ろして
軽やかな気分で
街中を駆け抜けたいと思っている

結局のところ
何もない人生だったから
最後の最後は笑って死にたい
そう思う



自由詩 自称詩人の最後 Copyright 花形新次 2025-09-09 20:09:14
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