鬼やんまと埴谷さんと私のそれぞれの道
こしごえ
次から次へと物事が起きる私は
次から次へと物事を忘れてしまう私は
次から次へと新しくなる。そうして
死んでは日々を生まれてゆく
私
それでも
なかには
おぼえている存在もあるのです
良くも悪くも忘れられない
存在が私のなかでいきづいている。
鬼やんまは
自分の
空の道を
持っている
でもね
私には
運命がある
運命というのがちがうのであれば
自然があると言おう
自然を広辞苑で引けば一つに
「自然」とは、
「自由・当為に対し、
因果的必然の世界。」であるという。
埴谷雄高さんは、自著
『不合理ゆえに吾信ず』
(現代思潮社刊)のなかで言っている
「さて、自然は自然に於いて衰頽(すいたい)することはあるまい。」
と。
私の道は、私にしか歩けない道。
私の
道を
歩いている時に
時々思い出す
いのちがある
※ 初出 2025.09.01 日本WEB詩人会