ジェシカのまな板
atsuchan69

目覚める
 と、
ここは深夜の密林

灯火に浮かぶダイニングバー

戦闘服のジェシカが店で
バナ・ナンカを刻む

よく切れる
薄刃包丁を手に、
ジェシカが正義を振り下ろす

タ、
タターン、
タタタ、
タ、タタターン

魔法のリズム、
煙立つ蚊取り線香~

輪の中を、
鼠が走る式動力でまわる
アマゾンの扇風機

歯のない爺ちゃんが踊る、
ジャングルのダンス

ナンカ、
密林の風が唸る、
まな板の上の女たちは
召された蛙のように股をひらき、
甘くてせつない、
バナ・ナンカを歌う

ジェシカのまな板は、
十穴のハーモニカにもなる

鼠の刻、
パラシュートで降下した
盲目の従弟、
ビリー・サップが、
木曽檜のテンホールズを吹いた

ぶーぶるる、ぶるんぷー
あふぉー、あふぉー
ナンカ、ナンカ、
タ、タターン、
タンタタ、タラタターン

 密林の奥で眼が光る、
 ナンカ、
 たくさんの 光る/眼が動く
 
ボフォ、ボフォ、ぶぶぶう、
あふぉー、あふぉー 

ジェシカ、酒だ! 
グラスの縁に塩をまぶして
その、
熟成なしのテキーラを
ぐいっと一気にやってさ
檸檬を皮ごと ガブリと齧る、
 
 あ、
 うっぷ。

まだまだ、夜は長いぜ






自由詩 ジェシカのまな板 Copyright atsuchan69 2025-09-01 04:38:03
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