三日月の少し前
自画自計


今夜を惜しむように
違う明日を拒むように
無抵抗に寄り添う二人たち

つないだ手は
解かれると知りながら
シンデレラの掟すら
書き換えるようとする二人たち

反対の空に浮かぶ月は
まだ三日月になれずに
その名を探している

どこからが恋人なのか
ためらいを隠さずに
恋人のしぐさを探している


映しだせない想いを
温もりだけでしか
伝えられない二人たち

人の歴史は解き明かせずとも
恋の行方を知りたがる街角で
星の歴史ごと止めようと
その場を離れられずにいる二人たち

夜空を持てあます月が
まだ三日月になれずに
その名を探している

言葉はまだ歌になれず
もどかしさの吐息が
歌い方を探している



自由詩 三日月の少し前 Copyright 自画自計 2025-08-27 00:14:37
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