居ても立っても居られない
秋葉竹




なんか
一年に数度か

何年に一度か

ジャニスジョプリンを
聴く


生前たった3枚のアルバム
活動期間わずか4年
ホワイト社会のいまからみたら
吐き気を催すほどのふざけた突き抜け

ジミヘンやオーティス、
サイモンとガーファンクル
彼らと同じステージに立ち
それらを横目にみながら
モンタレーポップフェスティバル

いちばんの拍手喝采を攫い取った
彼女、その時
24歳


黒人参政権
ビートルズ
ベトナム戦争北伐開始
ケネディ暗殺


産まれ故郷の
ポートアーサーの常識を
クソサイテーだと
云い放った
内気な少女


いまでもけっしてだれにも真似できない
魂を斬る歌声で
ナニをも
ナニものをも斬り裂こうとした
そして、斬り裂いた
世界を?
じぶんのこころを?


そして27歳で絶命


彼女は史上初の「ロッククイーン」であり
たとえば
いまなら彼女の当時の『叫び』が
YouTubeなんかで聴ける
魂さえ安上がりな時代になったもんだから


なんか
一年に数度か

何年に一度か

ジャニスジョプリンを
聴く


あ、なんていうか
ごくごく素直な真面目な痛みを
この胸に突き刺すために、ね。

私は、ナニを、やって来たんだ、と。
おまえはいくつになったんだい、と。


なんて、寂しい熱帯魚の群れに
さえ
入れてもらえない
プライド。


惹かれるものなど
ブルースしかない
惹かれるものなど
自由しかない


はみ出した
こころを守ることもせず
この身を晒し、信じ、込み、積む








自由詩 居ても立っても居られない Copyright 秋葉竹 2025-08-26 23:18:48
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