歌留多めくらず語ル鳥
歌留多カタリ
世に憚るものみな
そこはかとなくうっとうしい
馬喰横丁で暴露された醜聞(スキャンダル)の王国
咥えたばこの喉元通り過ぎる通り雨
簾の隙間から透かしてみればみるほどに
美しく馥郁たる育休のから騒ぎ
踊らされている人々の胸ぐら深く
口先三寸が跋扈する
賢き人々あまた
量子の微熱にうかされ
カルタとりかたる鳥
ハニカミもせず
軒先のツバメ冬に帰らず
モノの道理血の絵入り
人皆いいねにぶらさがる
憎まれ口が手にあまる
諦め癖が身に染まる
それが証拠にここかしこのしたり顔
みずすましの微笑する口元あたり
濡れそぼる叫び声ふたつ満つ
伊達結び帯留の綾かな朱色
その立ち姿術のありようを
動画したら問うのであろうか
なかろうほどにも陰唇(ほと)がある
真新しい春先の緑に包まれ
粟田口に聞き耳たて
聞くともなく聞いてはいたのである
託され旅の褒め言葉書き言葉
そのいまわのきわに歩き疲れた旅女が
大風呂敷をひろげにひろげ
水際の泥水てのひらに掬い
¬どうだいおまいさん方
ひと思いにこいつを飲みほしてみちゃあー」
囁き声のするほうに身をよじり首ひねり
ゴクリと呑み込む真似をする
細くうなだれた扁桃腺の軌道を
周回遅れに
転がり落ちていく輩こそ
他でもない
おまいさんがたじゃないのかい
もはや記憶に刻まれぬ王国なんぞ
何のたしにもなりゃあせぬが
目の前に湧き上がるむら雲ふたつみっつ
四つ葉の九郎半眼
不意にこっちに向かって押し寄せてくるではないか
さもありなん
ならば
おまいさんがさっきゴクリと
呑み込んだものを
とっととと金の弔い口まで見せにきやがれ
あいつらときたら
むら雲にたっぷり仕込まれた手羽先故
あらぬ角から八角(ハッカー)もどき
雪崩を打って侵入(はい)ってくるんじゃ
あるまい歌留多めくらず語ル鳥
クワバラクワバラ