死んだ自称詩人
花形新次

閉め切った灼熱の部屋で
自称詩人が腐臭を放って
最後の近所迷惑をしでかした

死因は自称詩に当たったことによる
自称詩中毒だと検屍官は言った

死体の横には
ヨレヨレのノートが
主人のクソ自称詩を
守るように置かれていた

ノートを開くと
そこには目を背けたくなるような
ゴミの言葉が書き散らかされていて
腐臭以上の悪臭を放っていた

遺品として家族に渡そうとしたが
家族は断固受け取りを拒否した
この上、更に嫌な思いをしたくない
その一心だった

仕方なく自称詩人のノートは
警察署の保管庫に入れられたまま
誰の目にも触れられることなく
処分される日をじっと待っている


自由詩 死んだ自称詩人 Copyright 花形新次 2025-08-02 14:34:06
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