蝉
降墨睨白島(furusumi geihakutou)
足元で油蝉が腹を見せて静かに死んでいる
目からの距離が遠くやけに小さく見える乾いた亡骸
その隣に腕時計を外して寝転び
同じように静かに死んでみたいと思う
誰がが通報した真夏のサイレン
十数分後『ご主人、ご主人、どうされましたか』
制服姿の小役人が声をかけてきた
ああ、俺は誰の主人で、どんな下僕がいるのだ
刹那無数の蝉は鳴き止み私は静かに眠った
自由詩
蝉
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降墨睨白島(furusumi geihakutou)
2025-08-02 13:57:09