文脈なき殺意
ただのみきや
強いて言うなら
地震のせいだ
なんでもかんでも
放り込んできた
整理もできないまま
ため込んできた
何年も何十年も
もう何がどう詰まっているか
自分だってわかってはいない
容量が限界を超えたころ
突然の強い揺れ そのショックで
こころの扉が内側からバタンと開き
腐ったものも尖ったものも
一斉に雪崩を打って
通りかかった誰かを下敷きにした
殺された方はいい迷惑
殺した方は支離滅裂
因果では不条理すぎる
量刑で故人は帰らない
残されたものは疲れ果て
感情の嵐がふとないだ時
(なぜ居合わせてしまったのだろう
運命という共犯を想定し
啞然としてしまう
(2025年8月2日)