禅宗
杉原詠二(黒髪)

禅宗の硬直、堕落よ
ただひたすらに座ること
自分でいろいろ体勢を変えながらも
苦行を戒められた釈尊の
その教えも省みないで
警策でたたく
作法にこだわる
それに何の意味がある
人間は動物だぞ
茶をたてるに作法がいるのは分かる
正しい掃除の仕方があるのも分かる
だのになぜ好きに座らせてやらないのか
誰かに見張っていられてないと
何かや誰かが不満になるのか
本当の禅を求める
正しい解釈者よ現われよ
今二千五百年の時を越えて
永遠のブッダの意思を受け継ぐものよ
まだ歴史は続く
終末観などとうに過ぎた
もはや世界はルビコン川を渡った
わたしは達磨大師を信じない

わたしは身をベッドに横たえて眠るとき
あばら骨が折れて肺に突き刺さりそうな苦痛に襲われた
そっと体を横たえ
恐怖に震えながらなんとか眠りについた
しかし朝起きたときは得体のしれない恐怖に襲われた
寝ても地獄
起きても地獄
夢などまったく見なかった
気絶するような眠りがあっただけだ
わたしは時間を無駄にしていると思った
いやそうではない
よく思い出すと
眠っている最中も
際限のない苦しみを感じていたのだったっけ

ただ座ってパソコンに向かっている時と
小便、嗚咽吐瀉をしている時だけ生きている実感があった
冷たいお茶を一日に二十リットル飲んだ
それでもわたしは愛していた
何ものかを求め続けた
死んではならないと思った
わたしの望まぬ苦しみが私を襲う
永遠を叩き割られて
まったくの形無しだ

あなたの眼差しだけを信じた
あなたの声だけを聴きたかった
それなのに私は愚かにもそれを捨てようとした
気が狂っていたので

さとりの三文字と
あなたの愛によって
狂った精神がやがて直っていった
わたしは生き直すことにした
幸福がやってくる
死ぬほど欲しかった幸福が
絶望の淵から救い出してくれた人よ
言葉にならない感謝を
あなたに会わねばならないと
あの夜、血を吐き続けた
みんなが心配して救急車がやって来た
それでわたしは入院したんだ

いい加減に苦しみに意味がないと知れよ
死体の真似をするな
生きている人間よ
動かないのは死んでいるのと同じことだ
眠りが安らかなのは呼吸をしているからであり
息が止まったら死ぬしかないんだ
だから穏やかな呼吸を邪魔するように
人を驚かしたり
やたらつかんで引っ張ったり
愚かなことをするのをやめろよ


自由詩 禅宗 Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-07-31 19:03:55
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