天気雨も降りそうにないから、
りつ
約束の指環に手を伸ばそうとして
「ああ、そうか。もうこの指環をつける必要なないんだ」
と、気がついた。
エターナル・ブルー
の呼び名を持つその指環が大好きだった。
苛々と髪をかきあげる
ヒッピーのようだった長髪は
すっかり短くなった
アナタハフコウナツマノワタシガ、スキダッタダケ
私だけを愛してくれていると
とんだ独りよがり
あなたが愛したのは
私であって、私でなかった
こんな時
普通は傷心を綴るものであろうか?
普通という化け物が
よく分からない私は
張りぼての怪物なのかもしれない
もうやめよう
今、中島みゆきは聴きたくない
彼女の想いに触れて
泣き出してしまいそうだから
雨で涙を隠せれば良かったのに
今日は痛いほど晴れている
晴れた日には晴れた日に相応しい歌がある
パッヘルベルの
カノン
この曲を
中島みゆきの代わりに
今日の硝子晴れの青空に捧げる