悲しみが薄れていく
黒髪
雨が降った、風が吹いた
カミナリが鳴った、川が増水した
気が変になった、元に戻った
永遠に苦しみは続かないものだな
四苦八苦と言えど生命エネルギーを否定はできない
つまり我々は自分で出来るのだ
習わなければ何もできないようだが
人は人に教える
自分なりの正しい答えを
騙す人は悪い人
心によって裁かれるが
苦しみと悲しみにははっきりとした区別がある
前者は害
後者は情
太陽が慈しむ七月
天の恵みを受けて
悲しみが薄れる
pale blueの夜明けが来る
悲しくて泣きはらした日が
人間の人間らしさを連れてくる
雨の夜も槍の昼も
すべてを統合して
愛の下に置け
悲しんだ
悲しんだ
悲痛の底に悲しんだ
自分も人も悲しんだ
もう何も起こらないかもしれないと思った
すべての人が悲しみを癒そうと
懸命な視線を送り
そっと肩をたたく
どんな悲しみも不吉ではない
悲しみに襲われるとき
エネルギーが噴出する
それは未来永劫にわたって変わらない
悲しみのない人間など存在しないのだ
生まれてから今まで何のチャンスもなくとも
母の母胎には宿った
美しく穏やかな子宮の中で
着床した存在だった
悲しみの涙は水である
人間の七十パーセントは悲しみで出来ている
海の中の藻屑は泡をつぶやく
海の中の魚は悲しみを知っているのか
海は悲しみの集合体だ
深い深い海の底が
深い深い悲しみに染まり
誰もそれを見たことがない
海の感情は
地球の誕生の秘密の中にあり
地球の海は一度生まれたならば
もう二度と干上がることはない
人間は死ぬときに
海から生まれたということを
思い出すのではないか
死者の霊を弔うのに
海洋散骨は
一般的に行われている