アジノタタキ
たもつ
繊維の構造に
光が降り注いで
戸惑ったわたしは
少しだけ早口になった
アジノタタキ、と
呪文を唱えた
日除けの帽子は
柔らかな海になって
凪いだまま
わたしの身体に
収まっていった
夏草の匂いをかぐと
名探偵のように人の後を
尾行したくなるけれど
誰もいるはずがないから
一人いつまでも
待ちぼうけている
観察記録をつけながら
爪先立ちの深呼吸
生きることに触れた
それもまた
夏の宿題だったと
八月の終わりに
ようやく気づいた
自由詩
アジノタタキ
Copyright
たもつ
2025-07-22 07:32:42