洗顔ス 、故に我を意識ス
ひだかたけし
朝に夕に顔を洗う。
丁寧に洗顔フォームで
頬骨から皮膚の感触
輪郭を辿りなぞりながら
額から顎まで塗り込む如く
顔と云うもの洗いながら
己が存在を自ら実感し意識し
これが俺か、これが自分か、と
ちっと笑ってしまう滑稽さ抱えつ
これが俺だ、これが自分だ、と
朝に夕に顔を洗う。
私はこうしたカタチに担われ
生かされある日この世に誕生し
生かされある日この世を去りつ
朝に夕に太陽浴び月光浴び 、
君の顔すら見入るのだ
この顔で生まれて初めて対面し
君に見入られ君に魅入られ
改め新たに洗顔し自らの顔の輪郭辿りなぞり
この世に生まれてこそ 初めてこの私なのだと、
君の顔を見入り魅入られ君に見入られて。