グラフィックデザート
e R i

まとはずれなあしおとに響く暗がりの笑いごえ
思い出そうのは3日前の出来事だけ
鮮明に繰り返す、記憶というフィルムのループ
ちぎれてゆく不必要なコマだけをはじきとばして
赤い羞恥の花を彩りよくそえるディナーテーブル
フォーク、スプーン、ナイフ、体温の高い手から伝わった熱が残る
ひんやりと切り取られてゆく夕暮れ
食されてゆく断片の喜び
ソファーにうずもれてゆく背中に食い込んだ爪から伝う体液
ゆっくりと吐き出す息からこぼれ落ちる記憶
さよなら、大切な思い出達

言い訳は声にならず心を喰いつぶしながらこだまする
白黒の横断歩道のコントラストを思い出すのはいつもの大通り
真新しい信号の点滅がまぶたの裏でリンクする
全ての罪は確信犯、だからあの夜は甘えなかったのに
ワンピースからのびた手足がエロくて、包まれたカラタが欲しかった
なんて淡々と言うから、問いかけには全てキスを流し込んだ
流れおちる唾液にとかされた夏の太陽
残された暑さに、涙の軌跡
もう1度ってせがむ声はいつも以上に媚びてる甘さで
ねっとりとからめとった挨拶にほんろうされる指を
強く噛んで期待だけでいっぱいの心を覚ます
都合よく切り取られたフィルムディナー
ループする記憶の上でまじわる最中の
ほんの少しのごほうび

『グラフィックデザート』


自由詩 グラフィックデザート Copyright e R i 2005-05-30 22:19:27
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