天日
リリー
あまねく日は西へ傾き
道に日は照り
わきたつシャンパンゴールドの
彩雲がおだやかな貌をみせる
隣人やあなたから見える
ベランダで洗濯物を干す「わたし」は、
知らないまに
どっさりと袋や荷物を持ち歩いているけれど
それらを足元へ下ろし
一日のすべての感情を集約しようとする
夕あかりの一とき
夕飯の支度を始めるキッチンテーブルの
クリスタルタンブラーには
沈みきらぬ夜の空洞を燈してくれる
桃色白詰草
あまねく日はあすも昇り
途に日は照り
夏木を這う小さな私は葉陰から
目を凝らす
白昼の星空に
待ち人のいないバス停が
ひっそりと立っているから