天日
リリー

 あまねく日は西へ傾き
 道に日は照り
 わきたつシャンパンゴールドの
 彩雲がおだやかな貌をみせる

 隣人やあなたから見える
 ベランダで洗濯物を干す「わたし」は、
 知らないまに
 どっさりと袋や荷物を持ち歩いているけれど
 それらを足元へ下ろし
 一日のすべての感情を集約しようとする
 夕あかりの一とき

 夕飯の支度を始めるキッチンテーブルの
 クリスタルタンブラーには
 沈みきらぬ夜の空洞を燈してくれる
 桃色白詰草

 あまねく日はあすも昇り
 途に日は照り
 夏木を這う小さな私は葉陰から
 目を凝らす
 白昼の星空に
 待ち人のいないバス停が
 ひっそりと立っているから


自由詩 天日 Copyright リリー 2025-07-12 16:10:21
notebook Home