来年の七夕
mizunomadoka


眠れないから針を投げる
夜がナマズみたいに口を開けてる

忘れた頃に届いた手紙
still love you.なんて
文末に軽く添えやがって
こっちは本気だったのっ!

白くなった指でパクチーの種を蒔く
もう命ごと持ってっておしまい

ランチして買い物しよう
やだ
冷房をつけてどこにも行かない

もうすぐ夏休みね
子どもたちが帰ってくるね

ぽとり
壊れた私がまた落ちる

こんな人生じゃなかった
でもわりとがんばったよ

夜の底に大鯰の口が開く
ラピュタは本当にいたんだ
なら全部飲み込んでよ
怖気づいて取り消す前に

・・生きてる?
・・・生きてた。

ふたりで夏の星座を作りながら
朝まで一緒にいたいと願ってた

言葉は風で
私はそれを離せない

待つのが苦手で
駆け出して
見つけられずに佇んでる
あの子に
大丈夫きっと見つかるよって
叶わない夢を保証してあげたい

あなたたちはどんな気持ちで
その詩を書いたの?

その詩はさっき私に届いたよ
ありがとう
おやすみなさい

わたしたち、ちゃんと大きくなったよ








自由詩 来年の七夕 Copyright mizunomadoka 2025-07-07 01:17:39
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