虻湯
本田憲嵩
鶴のおおくいる村に、
温泉へと向かいました、
露天風呂に入ったあと、
石だらけの日本庭園のベンチに座り、
その竹垣のまわりには、
樹々が青々と生いしげっており、
その葉がそよ風にさやさやと鳴って、
とても心地のよい、
無言のとき、
かけながしの湯口の音とともに、
それが流れてゆきました、
そこに一匹のとても大きな虻が飛んで来て、
私の脛を、がぶり、と、
噛んでゆきました、
自由詩
虻湯
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本田憲嵩
2025-07-06 22:31:43
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