もどり橋
花野誉


十代の頃

ドラマで見たもどり橋と

一条戻橋は全く違うものだった

私が見てみたいと言ったから

連れてきてくれたけれど

逢魔ヶ刻  

短い夕立ちの後

蒸し暑さが拭われない石の橋

あなたと私 そちらとこちら


 ここから落ちたら大人になる?

 もう充分大人でしょう?


あれは少年が大人になったお話

ここに来たら何かが変わる気がしたけれど

何も変わらなかった

そして なんとなく予感もした

そちらにいるあなたとは

いつか会わなくなるだろうって



















自由詩 もどり橋 Copyright 花野誉 2025-07-05 20:43:28
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