硝子の海 がらすのうみ
武下愛
一粒が連ね重なり
完成はいまだになく
溺れる事も無く
人肌の熱を持ち
様々な色を放つ
色彩の豊かさには溺れ酔う
くれるのがこわいくらいに
愛しみに沈んでいくのに
淡い色で輝きはまして
心拍数の数だけ増えていく一粒
嵐の日もあっただろう
明けない夜もあっただろう
苦しみぬいた時も流れていただろう
だのに今はおだやかさだけのこして
波紋すらなく
しなやかさを持った
丸みを帯びた粒で
満たされている、よ。
ぽつぽつぽとりぽとりとかさははまして
りゅうどうしてとどまらない
こきゅうができるのだもの
さんそでしかないのかもしれない
すこしだけつめたいねつかんでくるまれている
いろいろをはなって
ほうしょくにしずみよってしまう
くれるのがこわいくらいだよ
かなしみにほうわしてゆく
まぶたをとじてもわかるひかり
とくんとくんぽつぽつぽつぽとり
さまざまにいろいろあったのにね
とてもなみはかさだけのこして
ゆらぎすらなくなだらかさをもって
えいえいえんえんとし
ぽつぽつぽとりぽとり
みちみちとこぼれるかもしれないほどに
ひょうめんちょうりょくのわである、よ。