さよならのつづきはないよ
武下愛

ひとみをとじておもいだすことは たくさんのあたたかさでしかなくって

こぼれたしずくにうつるせかいはすべてやけい



ほら ごらん くちては いかないせかいを



アスファルトのかほりがする。雨で溶けたかほり。電灯は揺らいで視界は雨に煙る。漆黒の世界のはずなのに、揺らぐ雨は霧がかって見降ろした街並みに人の命が在るのだと、作られた世界にある。特有の美しさは乱雑であるのにもかかわらず。綺麗ではなく美しい。



青い薔薇/絡みつく茨/咲く花/真紅の/ね



だれかのためのばしょがわたしたちのせかいであって わたしたちのせかいはこぼれたしずくでしかなくって



ほら ごらん ことばに よごれた わたしたちを



終わりのない扉は無いのだろう?灯された明かりの反対側に、在る扉の先に何が待っていると思いますか?



木の葉から落ちる雫/跳ね返る雫/滴る雫/染み渡る雫/いろは



命の形をなぞり、一滴の世界が落ちる。きらいな人も含めて私は元気かなって思っちゃうんだ。ごめんね私が大事な人達は結果しか見ずに。途中の過程を忘れる。好きだった気持ちすらなかった事にして、踏みにじるのかい?自分自身を踏みにじっている事に気付かずに。



綺麗に/纏まらない/不可逆的思考/正否/非対称



すべてのしずくでできていることをけっしてわすれないで?


自由詩 さよならのつづきはないよ Copyright 武下愛 2025-07-01 18:09:12
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