がたんぽとん
fujisaki
東京へ行くなら
電車、おぼえないとね
やっとついた
借り暮らしの
街中の
扉をあけては
指を鳴らしていく
新人らしく
土砂降りに打たれながら
みんな ohayo!
たくさんあるでしょ
しんとしんせんとか
せーけーせんとか
うまく使えば
息をせずに
東京を通り抜けられるかもよ
電車で本を読む人は幸い
どうかカバーを外して
背表紙だけでいいから見して
向かいの兄ちゃんが持つビニール傘には
風に強い
というシールが貼ってあって
はたして自分は風に強いのだろうかと
ここは帝都の地下を横断する
たぶん皇居の真下あたりの車両
飛び込みには自信がある
大声で捲し立てられたって
nandeska
きょとんとしていられる
dositanodeska
水彩で
浅黒い肌に表情を描いていく
消しゴムのようにしろい部屋
おだやかなパステルカラーが
陶器のような肌のうえでまざっていくのを見ながら
手元のパレットはとても汚い
どうぞ絵の具は
水道水でといてください
雨は
鉄筋の
隙間を縫って落ちていき
大都会の底辺を流れる
それは美味しい
東京水