夏至が過ぎたから
山人

スーパーにスイカがたちならび、買い物客は上腕をむき出しにしている
夏至が過ぎた日の日中は、もう夏のような暑さが
巨大円盤となって上空を覆っている
希望というのは、日にあたった蛞蝓のように動かない

支持政党党首は、壊れた未来のロボットのように同じ文言を繰り返している
一人で立ち上げた、と繰り返し、時間の海に溺死寸前だ

エゾハルゼミはまだ鳴いていて、やがて蜩が本格的な夏を連れてくるだろう
詩など、もうどこにも無くて、使い古しのメタファが引き出しの中で眠っている

老害の吐息が山道に塗される
まだ初冬は遠い


自由詩 夏至が過ぎたから Copyright 山人 2025-06-28 15:34:52
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