長い季節
凍湖

髪に白いものがまじって
目尻に笑い皺ができて
腹がたぬきになって
アッハッハと笑う
陰鬱な17の春にはできなかった溌剌さで

ながく、あまりにながく
春が続き
たくさんの芽がひらくことなく腐ってとけてしまった

選べなかった人生で
荒波に押し出されるように
個々に息つき
ふりかえったら
春が終わっていた

舗装された道を行けなくて
浜辺を歩いてたら足跡は流されてしまう

さんざめく風に紅葉が1枚
長いあいだ俯いていた顔をあげると
さまがわりしていた景色
秋、暮れゆくうつくしい季節


自由詩 長い季節 Copyright 凍湖 2025-06-26 21:29:35
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