平凡なうた
ハァモニィベル
◇ サブタイトルー同じ文字、同じ言語を使っていてもー
君という世界に、僕という世界が、話しかけると
僕という世界には君という世界が、話しかけてくる
僕という世界が、君という世界に、また話かけると
君という世界には僕という世界が、話しかけるだろうか
*
同じ空の下、地の上に居ても
同じ天井の下、床の上に居ても
〈ワタシ〉と〈アナタ〉
この二つの世界は、いつも、必ず、ズレている
小さなズレもあれば、大きなズレもあるだろう
それを
黙殺する人もいて、呪う人もいる
二つの世界には、いつも、必ず、ズレがある
小さな器は、大きな器を充たせない
大器が注げば、小器は零すのみである
二つの世界は、いつも、必ず、ズレている
それを
黙殺する人がいて、呪う人がいる
二つの世界は、いつも、必ず、ズレている
が・・・
ひとつの世界そのものも、
実は、かなりズレてやしないか?
眼と鼻の先にいつも在る夢は、頭の片隅に引っ込めて
ほんとの自分は胸の奥 ほんとの感情は腹の底
ズラしてズラしてズラし合わせた世界と世界の合いの手が響く中
調子を合わせている割に、
結局、いつも必ず、
二つの世界はズレている
〈ズレた世界〉 と 〈ズレた世界〉 が
折り重なって《ズレ》を無視して会話を続ける
それがヒトの世界の平凡な在り様だ
*
それでも
君という世界に、僕という世界が、話しかけると
僕という世界には君という世界が、話しかけてくる
僕という世界が、君という世界に、また話かけると
君という世界には僕という世界が、話しかけるだろうか