夏至
田中教平/Kou

とけてゆく熱視線
ついにあなたはサングラスをつけて


塁にランナーはいない
どちらのチームにもヒットさえない
何が当たり前なのか知れないが
きっと引退した先輩は
テレビでこの野球中継を見つつ麻雀している
ここの応援団長は女性だ
何が当たり前なのか知れないが
僕はそのことを気にかける


思えば僕は三十八だ
スポーツ、スポ根とは無縁に生きてきた
今日の昼まで煙草を喫っていたけれど
スーパーマーケットでも喫う人を見ないので
というか灰皿が置いていないので
煙草をやめようと思います
それから近く禅寺までウォーキング
もう蝉が鳴いています
でも
夏が終わったら
みんな一体どこに帰るのでしょう?
煙草をやめるからには悪夢も観るんでしょう?
ユング云々は最近学んだが
悪夢を観ないものに成長はない、
らしい


いいえ
何が当たり前なのか知らないが
家に帰ってきていたら
九回裏ついにヒットが出た
そういえば今日は夏至なので
こんな手紙みたいな詩だって書いた


 


自由詩 夏至 Copyright 田中教平/Kou 2025-06-22 17:02:49
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