放下
ひだかたけし

どろんと下弦の月、
黄白の輝き放ち
この真夜中に 死に絶えゆく
無数枝分かれしたイノチ達
息の絶え絶えを
見守る威容異様 、
それぞれの抱える過去
何を知ろうか 否、全て識る

囲う魂に手を伸ばしながら
その手の輝き次第に消しつつ

逝く迄の肉身、照らし出す

この肉に宿り在ることの この
有り難さ苦しさ全て解き放たれれば

然り、自らは又
暗月へと向かいながら
下弦を張る黄白より

伸ばす触手 、やはらやをら引き離す


自由詩 放下 Copyright ひだかたけし 2025-06-20 19:32:35
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