オパール
凍湖
怒りを抱きしめる
しっかりと両の腕で抱いて
だれにも盗まれないように
他人の怒りに迂闊に乗っかったりしない
酔っぱらいがハンドルを握る暴走車に乗るのと同じ
「ただ乗っていただけなのに」とは言えない
怒りを
しっかりと抱きしめて抱きしめて
ぎゅっとかためて
幾億年もそうして
もうだれのものでもない
自分だけのだと思えたら
そっと腕をひらく
途端にまろびでる
オパールになったわたしの喉仏の骨
日の光に翳す
誇りにさえなるだろう、小さな宝石
それができないなら
ただ悲しんでいよう
それすらもむつかしいから