貝殻ぶるうす
洗貝新

 
                                 
 おじさん拾ってきたよ!
            と子供が浅蜊の殻を見せたがるのだが、
                                  海~

装飾に向く貝殻がなくなってしまった
あらわれに浚われやってくるのは
         乾燥し砕けたパイロン
 じゃらん、じゃらんと小石が躍る
歩線のない砂地

石に埋もれる
 貝殻の化石を見過ごしてしまった
                        鬱鷺       
車道を挟んだ崖には大きな穴があり
シャベルを抱えて人が下りていく
             金属の砂を見つける果てに

凍りつく色だけが
風に留まり
子供たちが風化していく 季節                
擦れた職人の小屋から聞こえてくる
じゃらじゃら と鳴る貝殻の音



自由詩 貝殻ぶるうす Copyright 洗貝新 2025-06-12 01:34:53
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