乾 加津也

小さな体で 
寄り添うあなたは
光を集めて 深呼吸する


まだ見えていないものたち
内から溢れるまなざしで 弾けながら
湿った広大なスクリーンは
なんとか 機微(オーロラ)を生みだそうとする


その一つ一つに
愛おしさと
触れる(ことができる) カーテンが宿ると
あなたはわたしに


指先がスイセンのように触れると
太平洋の深海の底で
宿命の瞼が
二度と開かないほどの
楔を求める
命の契約を すませるほどに大袈裟な


 それでも
 永い眠りから
 起き上がるわたしが
 かたくなに
 白い自分をまとうとき

 気づくあなたは
 開け放たれた
 窓の外からかすかに届く
 頬をつたう 風になって散る
 そこにカーテンもないのに




まわりにかき消されそうな か細さに
激しい炎も凍りつき
わたしは 緑に燃える
傷ついた時間たちの渦に落ちて
いまも
放り出されたまま叫ぶ
錆びた銅像のよう


このまま死を招き入れる
固い 巣箱になって
わたしに もう一度
永い眠りに 消える喜びをくださいと?

誰にむかって


自由詩Copyright 乾 加津也 2025-06-06 02:02:37
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