まほろば──入梅、夏はじめ
ひだかたけし

ぽつん ぽつん 
また ぽつん
雨だれ一滴、また一滴

通り過ぎるもの、落ち響き
消え入りながら終わること無く

響き落とし増幅し
皆々方と外れ重なり
すっと音信絶える

かと想いきや 、

ぽっと周縁から現れ出て
或るもの、在らんとして
新たな装い意味帯びて
慎ましやかにも眩しい輝き放ち

 続いていく時のなにひとつ同じこと無しと

遺体の只々棺に収まり
その狭き囲いから
解き放たれる君の魂 、

続きくりかへし増幅され返され
益々この世祝福する霊性担い

濡れそぼつ涙に新たな熱光放つ



自由詩 まほろば──入梅、夏はじめ Copyright ひだかたけし 2025-06-03 18:42:54
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