娘の誕生日
花野誉
三宮駅で待ち合わせ
古い喫茶店で少し話してから飲みに行く
学友とバンドを組み
ミニスカートでギターをかき鳴らし
絵を描きバイトをし
夢のために人々の間を飛び回り
大人たちと渡り合い
恋をし恋に悩み恋をエナジーの一つとし
光り輝く生命の眩さを目の前にし
ただただ圧倒される
彼女は私と違う
私から生まれ出たけれど
私のように何でもすぐに捨てない
投げやりにしない
「自分で自分の人生を終わりにすることは絶対にしない」
と言う
私は昔それをしようとしたことがあった
彼女は私と違う
それは産み落とした時から
なんとなく思っていた
私が母でごめんね
辛い想いを沢山させてごめんね
何度となく思っただろう
でも彼女は今活き活きとし
私を労い優しくする
私だから
彼女が生まれてきたのだろうか
彼女を見て私が学ぶために
彼女がどんな人生を歩もうと
己を貶めないのなら
何も言わず見守るつもり
私が人生で誇りに思うこと
それは彼女を世に生み出したこと
そのたった一つ
それだけ